国家資格等がなくても建設業許可は取れるのか
- 資格がなくても建設業許可は取れますか?
- 他の事務所では資格がないと建設業許可は取れないと言われたけど、先生のとこで許可が取れたと同業から聞いたんだけど、ウチでも取れますか?
- 国家資格者が辞めてしまったけど、許可は維持できますか?
といったお問い合わせを頂くことがあります。
【建設②】建設業許可の要件でも説明した通り、営業所に配置する専任の技術者として、国家資格者等が必要だといった認識があってのお問い合わせかと思います。
私の答えは、『実務経験を証明できる資料があれば建設業許可を取れる(維持できる)可能性はあります』です。
ただし、電気工事業と消防施設工事業については、それぞれ電気工事士法、消防法で資格が必要とされているため、この2業種については実務経験のみによる許可取得ができない自治体があります。
また、特定建設業許可の場合は、「指定建設業(土木一式工事・建築一式工事・電気工事・管工事・鋼構造物工事・舗装工事・造園工事)」については、施工技術の総合性等が考慮されることから、指導監督的な実務経験のみにより技術者要件を証明した専任技術者では、特定建設業の許可を受けることはできません(一級の国家資格・技術士資格・大臣認定が必要)。
実務経験の証明期間
国家資格等がなくても、『一部の場合を除き』実務経験の証明をすれば、専任技術者の要件を満たすことは可能であることは、ご説明した通りです。
国家資格等の取得の代わりに、実務経験があったことをどれくらい証明すればいいのかというと、1業種につき10年になります。
また、実務経験期間は重複が認められていないため、例えば内装工事と防水工事の2業種を一人の専任技術者が実務経験で証明する場合、20年の実務経験を証明する必要があります。
実務経験の証明期間の短縮
指定学科(建設業に関する学科)を卒業した場合、実務経験の証明期間を短縮することができます。
高等学校 | 全日制、定時制、通信制、専攻科、別科 | 実務経験5年 |
中等教育学校 | 中高一貫教育の学校 | 実務経験5年 |
大学・短大 | 学部、専攻科、別科 | 実務経験3年 |
高等専門学校 | 学科、専攻科 | 実務経験3年 |
専修学校 | 専門課程、学科 | 実務経験5年 専門士、高度専門士は3年 |
学科ごとに短縮できる建設業種が異なります。対応業種はおおむね以下の通りです。(参考:東京都建設業課手引き)
実務経験の証明資料
許可申請時には、専任技術者としての要件を満たすことを示す資料を添付することになります。
国家資格者等の場合は、その資格証や合格証書などコピーを添付するだけで済みますが、実務経験によって専任技術者の要件を満たそうとする場合、自治体によって多少の差がありますが、以下の①と②資料が必要になります。
①工事実績があったことを証明する資料
証明しようとする期間に、許可を受けようとする業種での実務経験が確認できる資料が必要になります。具体的には、以下の通りです。
- 業種内容が明確に分かる期間通年分の工事請負契約書
- 上記1がない場合は、業種内容が明確に分かる期間通年分の注文書・請書
- 上記2もない場合は、業種内容が明確に分かる期間通年分の請求書
ただし、押印の無い注文書・請書の場合と、請求書の場合は、その工事についての入金が確認できる資料(通帳の写しや取引明細書)が必要になります。
②上記①の期間の常勤を示す資料
①の資料で、工事の実績があったことを示すことができましたが、その期間に専任技術者が在籍していたことを証明する資料が必要になります。具体的には、以下の通りです。
個人の場合
他の事業者の社会保険へ加入していないことの証明として、健康保険証の写し(氏名・生年月日のわかる有効期限内のもの)と直前決算の個人確定申告書の写し(第一表・第二表:受信通知や受付印のあるもの)
法人の場合
健康保険証の写し(氏名・生年月日・事業所名のわかる有効期限内のもの)
事業所名が印字されていない場合は、標準報酬決定通知書や、厚生年金の被保険者記録照会回答票など追加の資料が必要になります。
以上の、専任技術者としての要件を満たすことを証明する資料が用意でき、他の建設業許可要件も満たす場合には、国家資格者等がいなくても建設業許可の取得は可能になります。
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